山行報告 【記 名屋】
2003・10/25 北アルプス 明星山 P6南壁フリースピリッツ   
メンバー 名屋、小井土
7時登攀スタート 〜11時頃中央バンド〜14時30分左岩稜のルート終了点


25日(24日)
 23時に小井土に来てもらい、明星を目指してひた走る。少し寝ておいたおかげで、快調に走り、4時間半ほどで駐車場についた。少し仮眠をとり、6時に出発する。この時点では少し寒いが、天気はこの上なく快晴だ。山の木々も、紅葉していて、いい感じだ。

 取り付きにつくと、5人パーティーの先行がいた。道具は、なんだか古めかしくて、正直結構焦った。その中で、2人は結構うまくて、フリースピリッツは既に登っているため、結果的には人数の割に、結構速く登っていた。我々も、ルートファインディングの困難さからは開放されたわけだが、複雑である。

 1P
 取り付きは、トポを見ると、岩小屋の上の草付を登っている。岩小屋は、川原にある大石の下の部分を指しているようだが、増水があったらひとたまりもないような所なので、とても使う気にはならない。

 奇数ピッチは名屋、偶数ピッチは小井土ということにして、先行の後を追って登りはじめる。草付混じりを左上していくが、泥が靴について、非常に滑るので、ちょっと怖かった。

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 さらに左に20mほどすぐにピッチを切る。行き過ぎに注意、とのことらしい。

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 フレーク状の登る5+とのことだが、こういうのは得意なためか、簡単だった。大き目のカム(キャメロット3番)が有効との情報があったが、持っていかなかったため、使わなかった。使わないと、確かにランナウトする感じだが、グイグイ登ることが出来るので、問題なし。

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 右にトラバースするような感じでゆく。

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 ハング下を左上していく。ウメボシ岩と言われる石が頭上にあるが、何ゆえウメボシなのかは、理由はわからない。

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 もっとも怖く、核心であると思った。ウメボシ岩をまたぐようにして、右下に7〜8mほどトラバースするのだが、スタンスがないじゃないか。

 フォローなので、ロープがあってもリードよりも墜落距離が伸びることが頭をカスメ、思い切っていくことが出来なかった。

 目の前にあるスリングをつかみ、A0でトラバースする。あまりにも怖かったので、後悔はしない。

 7P
 下部の核心とトポにあるが、恐ろしいトラバースの後では、上に登ることは楽しく、また易しく感じる。凹角から右のカンテを越える感じで登っていく。上にあがると50m近くロープを伸ばし、岩が遮るためか、声が届かなかった。

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 緩傾斜の草付状から頭上の凹角目指して登っていくが、凹角が非常に脆い感じで、ちょっといやらしい。ピッチを手前に切ればいいところを、ロープ50mいっぱいに伸ばしてしまったため、変な支点でビレイしていた。ここで、ハーケンを打とうとしたところ、ハーケンはあっても、ハンマーを忘れたことが判明した。

 9P
 15mほど、中央バンドを渡って木のある上部岩壁基部に行く。浮石の上を渡っていくような感じになるので、石を落とさないよう、細心の注意が必要。

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 右上してへの字ハングの下へ行く。一見どこでもいけてしまいそうな感じなので、注意が必要だろう。ビレイ点にもハーケンが一本あるだけなので、分かりづらいかもしれないが、割としっかりした木がある所になる。

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 鷹ノ巣ハングを右にみて、洞穴の真下にあるところまであがってゆく。

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 いわゆるパノラマトラバースとなる。ビレイ点より、左に一段登った所から、トラバースを開始する。高度感が非常にあり、また岩も所々脆いので、結構緊張する。

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 上部の核心で、1995年版の日本の岩場によれば5.10aになるが、最新のものでは5.8らしい。ハーケンやボルトが連打されており、実際それほど難しくはないが、やや脆い。

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 直上して大きな木が立つあたりを、左上していく。ここで先行が急にスピードアップしたためか、見失ってしまい、よく分からないところでピッチを切った。

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 いまいちどこを登っていくのか判然としなかったが、トポには凹角を登っていくように書いてあるので、目の前の凹角を登る。しかし、ピンが全くないので、途中の頼りない木とキャメロットでランニングビレイをとっていく。途中から木登り状態になり、45mくらい伸ばしたところで、左岩稜に到達した。

 終了点で少し休憩をとってから、下降を開始するが、ロープがなくても、目印の大木までは歩いて下りることが出来る。目印の大木からは、赤布に導かれて下に下りることが出来る。

 降りてから、キャンプ場にテントを張り、糸魚川の24時間やってるスーパー「マックスバリュー」に行く。ここで、刺身ののったチラシ寿司と、生食用の牡蠣と、秋刀魚の刺身、日本酒を買ってテントに戻る。

 日本海の秋の味覚を満喫した。

 26日は左フェースを登る予定だったが、夜中の一時頃から雨が強く降り始め、朝まで降っていた。そのため、テントを片して家路につくことにした。

 大町温泉郷の薬師の湯で朝風呂に浸かり、朝っぱらから帰る。関東に近づくにつれ、天気は良くなっていくため、なんだかもったいないような気もしたが、欲張ってもしょうがない。